心とからだの声なら従ってよい?
みなさんなじらね。さんにんにちです。
私はこのブログでよく「拒食症克服のために、あなたの心とからだの声にしっかり耳を傾けましょう」と書いていますが、実は1つだけ注意してほしいことがあります。それは「拒食症の声」を「心とからだの声」だと勘違いして、拒食症の言いなりになってしまわないようにすること。克服を決意して頑張っていると、拒食症はありとあらゆる手段を使ってあなたを邪魔しようとしてきます。
拒食症は時に、あなたの「本当の心とからだの声」をかき消してしまうほど強く訴えてきたり、まるであなたの心とからだが求めているかのようにささやいてきたりします。これらの「拒食症の声」と「本当の心とからだの声」を見分けて「拒食症の声」には従わないようにすることが、克服へつながる重要なカギになってきます。
従わないで!克服を邪魔する拒食症の声 5パターン
では、「拒食症の声」と「本当の心とからだの声」をどうやって見分ければよいのでしょうか?
ここからは、よくある拒食症の声のパターン5つを紹介します。以下のパターンに当てはまる場合、たとえあなたの心とからだが必死に訴えかけているように感じても、実は拒食症が裏で支配して言わせている可能性が高いです。
食べないための言い訳
「(本当は普通に食べたいけれど)今夜は外食の予定があってたくさん食べるだろうから、お昼ご飯は控えめにしよう」
「(ラーメンが食べたいけど)昨日ラーメンを食べたばかりだし、体に悪そうだから今日はやめておこう」
「(実はお腹がすいているけれど)さっき食べたばかりだから、食べないでおこう」
「(正直もっと食べられるけれど)周りのみんなが食べていないから、私も食べなくていいや」
こんな風に、拒食症は「食べないための言い訳」や「食べなくていい理由」を探して、悪魔のようにささやきかけてきます。せっかく克服のために食べようと勇気を振り絞っているのに、そんな声が聞こえてきたら心が揺らいでしまいますよね。でも、そうやって拒食症が食べない言い訳をささやくのは「本当は、食べたい!」というあなたの心とからだの声を隠してごまかそうとしている証拠なのです。
拒食症のささやきが聞こえて食べるかどうか迷ってしまったときは、そのささやきに隠されたあなたの本当の心とからだの声に気づいて、そちらを大事にしてあげてください。
食べること・体重が増えることへの恐怖・拒絶
体重を増やすために食べなければと思っているのに、いざ食べようとすると怖くて仕方がない。
周囲の人が心配して自分にたくさん食べさせようとしてくるのが嫌で、拒絶してしまう。
想定よりもたくさんの量やカロリーを食べなくてはいけなくなると、動揺が抑えられない。
思っていた以上に体重が増えていたとき、受け止めきれずにパニックを起こしてしまう。
拒食症にとって食べること、それによって体重が増えることは大敵です。だから、あなたに食べさせないように必死で邪魔をしてきます。あなたが食べることをどうしようもなく怖いと感じたり、拒食症を克服したいのに体重が増えるのが嫌だと思うのは、そう感じるように拒食症があなたの心を支配しているからなのです。
食べる怖さや体重増加への嫌悪感を認めた上で、それが拒食症に支配された心からの訴えであることに気づき「それでも、食べる」という選択ができるかどうか。それが克服に近づけるかどうかの大きな分かれ目になります。
食後の後悔・不快感
食べた後、満足感よりも「食べてしまった」という罪悪感を覚える。
「食べ過ぎたのではないか」と不安を感じたり、食べたことを後悔して自分を責めたりする。
たくさん食べた後、食事を控えめにしたり運動をしたりして調整しようとする。
空腹でいることに安心感や快感を覚え、満腹になると体が重い、だるいなどの不快感を覚える。
拒食症は食べた後にからだの不調を起こしたり「食べることは悪いことだ」と思い込ませたりすることで、あなたがこれ以上食べるのを阻止しようとしてきます。でも本来、食べることは生きるために必要不可欠なことであり、不快感や罪悪感を抱くことではないはずですよね。
(例えば健康に悪影響を及ぼすほど肥満の人が、からだが求める以上に食べてしまうような場合は話が違うかもしれませんが、少なくともこの記事を読んでいる人の多くは、食べることに罪悪感を覚える必要はないはずです。)
もしあなたが食後に不快感を覚えたり、食べすぎたのではないかと不安になったり、罪悪感を感じたりしたら、拒食症がこっそりあなたを操ろうとしているのではないかと疑ってみてください。
自分のからだが太っているように見える
鏡に映った自分が太っているように見える。
周囲の人と比べて、自分が太っているように感じる。
ネットやSNSに書かれた体重(標準体重、美容体重、モデル体重、シンデレラ体重など)やBMI、体型に関する数値(スリーサイズや腕、脚の太さなど)の目安と自分を比較して落ち込む。
お腹がポッコリ出ている感じがするなど、からだの特定の部位が気になる。
拒食症は自分のからだの見え方や体型・体重のとらえ方を歪めてしまいます。これは、拒食症の症状の例として挙げられることも多いかと思います。私自身、特に食後に自分のお腹がポッコリ出ているのが気になって仕方がない時期がありました。(お腹がポッコリ出てしまうのは痩せすぎにより下がってしまった胃腸が前に出てきてしまうからで、拒食症回復期によく見られる症状のようです。)
おそらく、拒食症克服を目指そうと思っていて、この記事に目を通してくださっているあなたは、既にそれが拒食症の仕業であることに気づいているのではないでしょうか。
もし気づくことができているのであれば大丈夫。あなたは着実に克服に近づいています。あとは拒食症が歪めている見え方やとらえ方にとらわれることなく、自分を信じて克服に向かって進み続けましょう。
自分ルールを守らせようとする
習慣にしている運動(散歩や筋トレ、ストレッチ)があり、天候や体調が悪くても休めない。
食べることに対するこだわりや自分だけのルールがあり、それをしないと気が済まない。
「○○するべき」「○○してはいけない」という考えが常に頭の中にある。
自分ルールを守れないと自分がダメな人間になる気がする。
自分ルールを守れなかった時、自分を責めて落ち込んでしまう。
拒食症は、痩せている状態を維持して克服させないために、食事や日常生活についての自分ルールを作り出し、それを守らせようとしてきます。真面目で頑張り屋さんな人ほど、一度決めたルールを守ろうとして必要以上に自分を縛り付けてしまう恐れがあるので注意が必要です。
たとえ健康のため、ストレス解消のために良かれと思って始めたことであっても、自分の体調や精神状態、その時の状況(天候が悪い、他にやるべき仕事があるなど)に応じて調整できないようであれば、ルールを見直す必要があるでしょう。
自分ルールそのものや、ルールを守ろうとする義務感が、あなたを拒食症克服から遠ざけてしまっていないか、ときどき見直してみてください。
「認める」と「従う」は違う
いかがでしょうか。
私の個人的な考えでは、
・克服につながる考えや行動とは矛盾すると感じるもの
・「拒食症を克服した後の自分の理想像」と重ねたとき、少しでも違和感を覚えるもの
はほとんどが「拒食症の声」によるものだと判断してしまってよいと思います。
そうした「拒食症の声」が聞こえてしまうこと、あなたの心とからだが克服に対して不安や恐怖を覚えたり、拒絶反応を示したりすることを事実として認めてあげることは大切です。でも、もしもそのまま「拒食症の声」に従って克服のための努力をやめてしまったら、まさしく拒食症の思うつぼ。「認める」と「従う」は全く異なるということを忘れないでください。
どうか「拒食症の声」に惑わされることなく、あなた自身の「本当の心とからだの声」を聞いて、克服に向かって進み続けてください。
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